先日、父が亡くなりました。
ガンでした。見つかった時にはすでにかなり進行していて。
余命が宣言された中、治療を頑張ってくれたのですが、1年で亡くなりました。
治療中はコロナ下だったこともあり、見舞い等は難しく。
やっと面会が許されたのは亡くなる直前、意識がはっきりしなくなってからでした。
病室に入った時、これが最後かもと覚悟して。父との最後を残したいと思って。
カメラを取り出したのですが、シャッターにのせた人差し指に力が入らない。
自分でも驚いたのですが、本当に、指に全然力が入らない。
弱ってしまった父を残すことに抵抗があって。
同時に、元気だった頃に、なんで写真を残さなかったんだろうかと後悔が襲ってきて。
父は、写真嫌いでした。昭和の人間で。「写真を撮られると魂が抜ける」が口癖。
なので父と自分が一緒に写った写真は全然なく。
でもこんなことになるなら、もっと早くたくさん写真を撮っておけばよかった。
ちょっと魂が抜けるぐらい、一生会えないことに比べれば全く問題でなかったのに。
なんとか力を振り絞って撮れたのは、病室と、父の一部が写った写真。
どこかギクシャクしたところもあった父と自分の関係を反映したような写真。
8月、初盆が終わりました。
あらためて父との写真を探した中で、ふと、自分も大切な人との写真をどれだけ残してきたかと思いました。
「生きる」という人生の義務をなんとなくこなしていて。
振り返ると自分も大切なことを見落としてきたのではないかと。何を残してこれたのだろうかと。
これを読んでくださった皆様に一つ。
今生きているあなたにとって大切な人と、一緒に写真を、いっぱい、いっぱい、撮ってください。
後悔の無い人生を。